人気の酒米種類とその生産量の傾向を解説 - 酒米屋 吟

BLOG & INFO

酒米栽培 農業

人気の酒米種類とその生産量の傾向を解説

こんにちは(^^♪今日は日本の酒造りに欠かせない酒米についての記事をかいています。まず、人気の酒米2種類!!山田錦と五百万石!!この二つの生産量はずば抜けている。そこで地域別の分布を紹介します。そして次に、美山錦や雄町、出羽燦々など、他の主要な酒米6種類を紹介。生産傾向や生産量の動向を見ていきたいと思います。さらに、これらの二大巨頭酒米は、ワインの品種に例えられることもあり、その味や特徴の違いを学ぶことで、また違った目線で日本酒を楽しみましょう。そして最後に僕たちが育てている吟のさとについて紹介したいと思います。さぁ本日も乾杯(^_-)-☆

酒米の検査
酒米の等級を決めている様子

人気の酒米2種類と山田錦と五百万石

日本酒の原料である酒米には多くの種類がありますが、その中でも山田錦と五百万石は特に高い評価を受ける代表的な品種。山田錦は、人気の品種で国内外から絶大な支持を得ており、全国的に広く栽培されてます。一方、五百万石は安定した生産量と仕込みやすさから、多くの酒造メーカーに利用されています。

酒米の特徴は、心拍というでんぷん質が多くお米の粒が大きいというところが特徴です。精米の際に大粒のほうが削りやすくアルコールを造るのに必要な心拍も大きい。その特性を活かして、多様な日本酒が出来上がり、国内外の日本酒ファンからも高い評価を受けている。この2つの品種は酒米の代表格としてだけでなく、日本酒文化の象徴ともいえる存在。なぜこれほどまでに広く使われるのか?その背景には、育成の歴史や栽培のしやすさ、そして味の特長にあります。今後もこのふたつの品種を中心に、多種多様な酒米の進化と新たな可能性が期待されています。

酒米の比較している
酒米の比較

主要な酒米の生産量とシェア

日本国内で酒米の生産地と品種ごとに特性があります。山田錦は兵庫県が一番のブランド地域で、兵庫県の酒米の生産量の大部分を占めています。兵庫県のほか、岡山や山口県、九州でも育成されており、全国的に見て約6割以上のシェアを確保しています。山田錦は高品質な米として高い評価を受け、特に高級酒、純米大吟醸などの製造に多用されます。

一方、五百万石は新潟県を中心に多く栽培されており、その安定した生産量と比較的低価格であることから、多くの中小蔵や大量生産を目指す工場にとって重要な選択肢となっています。五百万石は、その名の通り、収量の多さと味のクセのなさから、多種多様な酒造りに適しており、市場全体のシェアでも上位を占めています。

これら二つの米品種は、それぞれの強みを背景にして、日本酒界の基本的な柱としています。統計によると、山田錦と五百万石だけで酒米生産の約8割近くをカバーしており、国内酒米市場の中心的役割を果たしています。

山田錦と五百万石の地域別生産量

山田錦と五百万石の地域別生産量には、明確な特徴があります。山田錦は西日本エリアを中心に生産されており、その中でも兵庫県の山田錦は他県の山田錦は別物。価格も高騰しており人気は高いです。

五百万石は東日本エリアを中心に生産されている。そのなかでも新潟県は国内最大の米の生産地の一つ、五百万石の栽培面積は非常に広いです。栽培環境としては、冷涼で湿潤な気候が五百万石の生育に適しており、味のバランスも良好です。秋田や山形といった県でも栽培が盛んで、日本酒になると地域ごとに微妙な風味や香りの違いが生まれています。東日本エリアの地域別の生産動向を見ると、冬の寒冷期に耐えられるほど耐寒性を備え、生産量も安定。こうした地域性は、各地の酒造りにおいて独自のスタイルや味の個性を生み出す要因になっています。また、地理的条件や栽培技術の進歩により、今後も地域ごとの生産量は変動していくと考えられます。このように、山田錦と五百万石の地域別生産量は、日本酒の多様性とその背景にある地域文化の深さを示す重要な要素となっています。

稲の長さを比べている
稲の長さの違い

酒米の生産量の傾向と背景6種類に注目

日本の酒米生産には「地場産」というところが大きく影響していると思われる。県内でしか育成されていない品種もいくつもある。そもそも酒米の種類は100種類以上存在しており、年間1000トン以上育成されている品種が11種類程度。20000トンとなると2種類のみで、山田錦と五百万石の2種類にかたよっている。その下の生産量が多い品種が3つ、美山錦、雄町、出羽燦々の3品種だ。美山錦は長野、秋田、山形と全八県で栽培されている。雄町は岡山と五県、出羽燦々については山形県の美になっている。

また秋田酒こまちは、言うまでもなく秋田県のみ。吟風という品種も北海道のみと各県が特色をだすために頑張っているのが現状です。私たちが育てている吟のさとは九州を中心に育成されており私たちが出荷する量は2トン程度で、南九州が中心になり作付けされています。補足ですが日本最南端の酒米栽培地区が種子島です。

全体的に見て、国内の酒米生産は減少傾向にあるものの、特定の品種や地域は例外として増加している。これは、酒蔵の嗜好や消費者の味の好みの変化、輸送コストや耕作面積の制約など、多くの背景要因と密接に絡んでいる。また、品種ごとに適した栽培地域や気候条件も多様であり、それに伴う生産の偏りや集中度も注目すべきポイントだ。

酒米の生産量は、日本酒の品質向上や特定銘柄の需要拡大に対応して、長期的には安定供給への課題とともに、地域経済や農業の持続性とも深く関係している。酒米の品種ごとの特徴や需要動向、さらには地域別の戦略的な生産調整は、今後の日本酒市場を左右する重要な要素となるだろう。

美山錦・雄町・出羽燦々

美山錦は、長野県生まれの酒米。非常に飲みやすいお酒になる印象で、長野県、秋田県、山形県で生産されるさ酒米だけありエレガント(スッキリっと辛口、雑味が非常に少ないお酒)なお酒になる。全国的に人気のある酒米だ。生産量としては五百万石につぐ、第三位に位置しているため酒屋さんで目にする機会は多いはず。

雄町は岡山県生まれの酒米。西日本エリアで生産され、岡山県、大阪、広島で栽培されている。ブランド化が進んでいるのが備前雄町。岡山県で生産されており岡山県から各県に出荷されている。雄町の歴史は古く、江戸時代から生産されており、現代の酒米の三分の二はその血を引いているといわれている。山田錦と五百万石も雄町の孫にあたる。聞いたことあるだろうか?「今瓶詰したかと思うくらいの」という表現が日本酒の世界にはある。香りや味わいにあばれているような感じがある。だから少し寝かせた方が落ち着く。まとまり感が生まれてくる。この「暴れている印象」が雄町の味わいの印象で、「秋上がりする酒米」夏を越してから、ようやく落ち着く。雄町や山田錦の特徴だ。

出羽燦々は20世紀終わりごろに山形県で生まれた酒米だ。まだ歴史の浅い酒米ですね。華やかな香りが特徴的な酒米で、当然、その特徴を生かすための吟醸系に使われる酒米です。華やかさで言えば五百万石を上回る品種だ。香りと吟醸香は強いがスパッとキレのある味わい。余韻に野暮さを感じない。非常にきれいないお酒である印象を受ける。間違いなく、五百万石系の酒米ですね。これが出羽燦々の特徴だと思います。

酒米の生産は品種改良によって収量の向上と品質の安定化が進められ、多くの酒造所に採用されている。これらの品種は、それぞれの特性を生かしながら、地域の気候や土壌条件に合わせて最適な栽培方法を模索されている。こうした努力は、酒米の多様性を保ちつつ、安定供給と高品質化の両立に寄与している。

稲刈りの様子
コンバインと稲

地域別の生産動向

酒米の生産は、地域ごとの気候、土壌、伝統的栽培技術により大きく異なる。北陸や山形は出羽燦々の主要産地であり、冷涼な気候と肥沃な土壌を背景に、品質の高い米を育てている。関西地域では、美山錦の栽培が盛んであり、酵母や酒造りの特色と相まって、個性豊かな日本酒が生まれている。一方、岡山を中心に雄町の生産が行われており、その土地の気候と伝統的な技術が雄町の風味に深みをもたらしている。生産動向を見ると、都市圏や消費地からの需要増加に応じて一定の地域では栽培面積が拡大し、逆に他の地域では縮小傾向も見られる。こうした変動は、市場のニーズや政策の影響を大きく受けている。

また、北海道や四国、九州は新たな品種導入や栽培技術の革新による増産の試みも進められており、地域ごとに異なる戦略と対応策が見られる。地域特性に根ざした生産動向は、今後の酒米の多様性と供給の安定化にとって重要な要素となっている。さらに、地震や豪雨などの自然災害も、生産動向に大きな影響を与えており、長期的な視点での気候変動への対応も求められている。

生産量変動の要因と影響

酒米の生産量に影響を与える要素は多岐にわたる。まず、気候変動や自然災害が大きな役割を果たす。気温の上昇や降水量の異常は、収穫時期や収量に直接作用し、品質を左右する。また、農業従事者の高齢化や後継者不足も、生産体制や栽培面積を縮小させる要因だ。特に、土地の高齢化や都市化の進行により、耕作地の確保が難しくなるケースも多い。

さらに、国内外の市場需要の変動も重要だ。国内の若年層の日本酒離れや海外展開の拡大は、品種や生産地の選択に影響している。経済状況の変動も、投資や栽培にかかるコストに反映される。これらの要因は、生産量の増減に直接的または間接的に作用し、市場の供給の安定性を揺るがすことがある。結果として、生産背景の複雑さとリスクマネジメントの必要性が高まっている。それに伴い、政府や地方自治体は支援策や技術革新促進を通じ、生産の底上げと安定化を図っている。今後も、これらの要因を継続的に監視し、適切な対応策を講じることが、酒米産業の持続性を保つ鍵となるだろう。

山田錦と五百万石、酒米界のカルベネとピノ

なぜ?この二つの品種に人気が集中しているのか?それは風味が突出しているからです。雄町には熱狂的なファンもいますが、ある程度の知識がないと魅力が理解しにくい。それに比べる山田錦と五百万石は初心者が飲んでも、通の人が飲んでも、ともに「おいしい」感じられる。

そして、この二つの品種は性格が異なっている。山田錦はパワフル系(香りと味わいにボリューム感ある力強いお酒)、お酒を飲まない人でもその名前を知っている、王様というべき存在だ。全国で栽培されていますが、どちらかというと西日本エリアの方が栽培している地域が多い。

一方で五百万石はエレガント(香りが華やかで繊細、きれいで淡いお酒)全国で栽培されている。安定した生産量とキレの良い味わいで人気で、どちらかというと東日本エリアで栽培されている地域が多い。

山田錦が男性的な力強さが、五百万石には女性的な繊細さがある。山田錦が酒米界の王様なら、五百万石は女王様です。で日本酒の世界には、さまざまな酒米が存在し、それぞれの特徴や味わいにより酒の個性が形成されている。海外のワイン用ブドウ品種界に例えると、カルベネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールのように関係がそっくりである。これから、各酒米の味の特徴と役割について詳しく見ていこう。

酒米界のカルベネとピノ!!味の違いは?

酒米界におけるカルベネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールは生産量も多いし、キャラクターも正反対。重厚でボディのしっかりとした味わいのカルベネは温暖な気候を好む、山田錦とよく似た特徴を持っている。逆に渋みが少なく、繊細で上品な味わいのピノは冷涼な気候を好む、こちらも五百万石とよく似た特徴だ。そっくりな関係だ

カルベネとピノは初心者でも味のぐらい、性格が違う。日本酒の世界でも同じことが出来ないはずがない。山田錦をパワフルスタイルの代表、五百万石をエレガントスタイルの代表としてイメージしてもよいかもしれない。

ここまでをまとめるとこのようなイメージになる

パワフル系 山田錦が代表、雄町、八反錦、西日本エリアが多くなっている。

エレガント系 五百万石が代表、出羽燦々、美山錦、東日本エリアが多くなっている。

もしラベルにこのような情報があれば味わいのイメージがわいてくる。楽しみが増えますね。一つ、飲む順番についての知識を紹介したいと思います。簡単です、エレガントスタイルのお酒が先!!ラベルに情報があるなら是非参考にしていただきたい。淡いものを先に飲むことですべてのお酒を楽しむことができる。パワフル系からエレガント系には戻れないです。

エレガント系なら出羽燦々、五百万石、美山錦と続けていく。こうすれば全ても香りが楽しめる。そこからパワフル系に移行すると八反錦、雄町、山田錦とつながっていくと、味わいの深みが増していくのを堪能できる。それぞれの個性を最大限に生かしてあげるためにも、飲む順番に気を配りたいですね。

日本酒の画像
純米酒わたる

山田錦と吟のさとは兄弟分!!南九州の種子島で育成してみて

僕たちが育てている吟のさとは山田錦を親として、短い穂で収量が多く、山田錦と品質が変わらいように農研機構で研究された酒米です。日本最南端の酒米のブランド化を進めている最中で、日本最南端の酒米栽培地区が種子島です。

吟のさとは南九州で試験育成され、地域の気候や土壌に適応しやすいように品種改良が進められました。吟のさとは特定銘柄酒の原料にむいていて、私たちが梅ヶ枝酒造様で、お酒にしてみると香りの高いリンゴのような香りが特徴的な日本酒になりました。

実際に種子島で育ててみると、問題はたくさんありましたが、なんとか育成に成功して量産までできるようになりました。短穂という特徴も、種子島の台風の風にも負けない強くて太い茎が倒伏と防いでくれました。酒米の品質的には問題のないできで、収量と等級ともに一定のレベルにまで達しているとおもいます。今後の展開が楽しみです

この記事は日本酒テイスティング北原康行さんの著書を参考にして私の経験と感想をあわせて書いてます。さて今年の日本最南端の酒米「吟のさと」を育てます。次回はその様子を紹介します

種子島の米作り、日本最南端の酒米 吟のさと

稲刈りの様子
稲刈りの様子

この記事の著者

八汐 航

1984年2月16日生まれ。地元、種子島の真中に位置する中種子町で実家の寿司屋八千代寿司を家族経営(代表取締役)している。小学生のころから、料理、生け花、農業に興味を持ち現在は料理を職業とし趣味で池坊を学び、酒米の栽培に挑戦。日本最南端の酒米栽培地区を種子島で実現し自分たちで育てた酒米から作った日本酒は思い出深い酒の味です、、、

コメントは受け付けていません。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2025 八千代商店 All Rights Reserved.

CLOSE