知っておきたい!大吟醸の醸造アルコール添加 - 酒米屋 吟

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知っておきたい!大吟醸の醸造アルコール添加

お酒の世界には奥深い魅力があり、本日は大吟醸は注目してみます。本記事では、醸造アルコールの添加に関する重要な知識をさぐり、大吟醸にどのような特徴があるのか、その醸造過程における添加のたいみんぐは?そしてその理由やそのメリット、さらにそのプロセスが風味や香りに与える影響について見ていきたいと思います。

大吟醸の楽しみ方、また食事とのベストマッチ、温度についても掘り下げていきましょう。さらに、山形県から和田来と兵庫県からKONISHIの大吟醸のテイスティングしていきたいと思います。ではさっそくいきましょう。乾杯(^^)/

大吟醸とは何か

大吟醸は各カテゴリの日本酒の中でも高級品で、風味と香りが様々、辛口であることが多く特徴の一つです。その製法や特徴は他の日本酒と一線を画しており、多くの酒愛好者に愛されています。日本酒は米と水を主原料として作られますが、大吟醸はさらに厳選された原料や特殊な製法が求められます。ここでは、大吟醸の定義や特徴、醸造過程での位置づけを詳しく見ていきましょう。

大吟醸の定義と特徴

大吟醸とは、精米歩合が50%以下の米を使用して醸造された日本酒の一種。精米歩合とは、米をどの程度精米し、外側の米の部分を取り除いたかを示しています。精米されることで雑味が少なくなります。大吟醸はその名の通り、特に吟味された酒として位置づけられています。

醸造過程における位置づけ

大吟醸の醸造過程は高い技術と豊富な経験が必要です。まず、大吟醸を造るためには、原料となる酒米(玄米)を使用します。代表的な酒米には山田錦や五百万石があり、私が育てているのは吟のさとという品種です(日本最南端の酒米)

原料となる米は、専用の精米機で精米され、ここにも人間の感と経験が必要で、精米歩合が高くするには人間の判断が必要不可欠になっています。次に、酵母や麹を加えた後、発酵が始まり、低温でゆっくりと進行させ、上質なアルコールと香りを引き出すための条件を整えます。醸造完了後も、浄化や熟成のプロセスが行われ、個々の個性あふれる味になっていきます。

醸造アルコール添加の目的

醸造アルコール添加は、いわゆるアル添酒と呼ばれるお酒。醸造アルコールは砂糖を精製した後の液体(廃蜜糖)を蒸留したものが一般的で、昔はお酒を増量するために加えていました。今は品質を安定させるために使われている。特定銘柄酒のアル添酒に関しては特にそうなのです。

香りの成分は水には溶けない一方でアルコールには溶けやすい、発酵が終わり最後にもろみをしぼる直前に醸造アルコールを加える。もろみからお酒へ香りを移しています。いくつかのメリットがあり辛口といわれる味に近づく、近年では純米至上主義者も見られる一方で辛口を語るならアル添酒の存在は外せない。多様なシーンによって飲み分ける必要があり、例えば蕎麦とあわせるなら香りの強い純米大吟醸や純米吟醸は蕎麦の香りを殺してしまう。香りの低い本醸造の出番になる。銘柄によっては大吟醸や吟醸も合わせられる可能性は秘めている。華やかな香りを持ったお酒だけでなくていい、香りが少ないことが求められるシーンもあるんです。

アルコール添加のメリット

アル添酒のメリットは、まず第一に、お酒の保存の安定性を高めることです。お酒を劣化させる火落ち菌の増殖をふせぐ効果があげられます。純米酒系の日本酒より保管が楽になります。近年の流通はクール便で北から南まで輸送することも可能です。また四合瓶が増えたことで家庭でも冷蔵保存が出来るようになった。低温で輸送、保存できるという点でみれば醸造アルコールを添付して菌の増加を防ぎお酒の劣化防ぐという必要性は低い気もします。

醸造アルコールの添加がされてようがされてなかろうがおいしければそれでいい。純米大吟醸の華やかな香りがきつい、と思う時もある。日本酒というのはカテゴリで性格が全く違うのです。エリアによっても違う。アル添酒のような香りを抑えた日本酒が必要なこともある。だからその時に合わせたおいしい日本酒を選ぶことが重要なんだと思います。

二本の大吟醸をテイスティング

本日は二本の大吟醸を紹介。数ある日本酒の中から山形県と兵庫県から一本づつチョイス。本日もワイングラスでテイスティングしていきます。色味から香り、そして口に含んでみてから感じる旨味そして余韻ですね。特に食べ合わせの部分は注目できますね。選んだのは、和田来大吟醸とKONISHI大吟醸ひやおろしです。それぞれの酒の香りや味、飲みごたえの違いを楽しみたいと思います。さていよいよ乾杯だ(^^)/

和田来大吟醸テイスティング

山形県 渡曾本店 和田来 大吟醸 精米歩合50% 高い精米歩合だけありグラスにそそいだ色味は透明でクリアな色味、東日本の東北らしい色合いですね。香りをかいでみます。高くない。お米を50%磨いているのに純米大吟醸ほどのリッチ感はでていない。フルーツの香りもありません。お米の香りもなく、ヨーグルトのような乳酸の香りがします。純米大吟醸や純米吟醸よりピュアさに欠ける印象なのは、醸造アルコールが加わっているからでしょう。

口に含んでみます。しっかりとした酸味を感じます。甘味をそんなに感じないの酸味あるからです。 人間の舌は酸味があるとあまり甘味を感じなくなってしまう。ただ優しい印象の酸味になっているのは東北でつくられたお酒だからかもしれません。

味わいは全体は淡いですね。アル添酒の大吟醸の特徴で酸味と余韻のキレがあるすっきりとした印象をうける。和田来もそんな印象ををうけます。苦味もあり余韻も長くない。

こういうお酒には前菜と合わせられる。純米大吟醸や純米吟醸では出来ない組み合わせです。酸味とちょっとした苦味があるならグリーンサラダと相性がいい。アルコールがピリッとした刺激もあるのでニンニクと相性がよさそうです。ペペロンチーノのように塩とオリーブオイルだけのシンプルなパスタに合う。

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KONISHI大吟醸ひやおろしテイスティング

兵庫県 小西酒造 KONISHI 大吟醸ひやおろし 精米歩合50% 続いて二本目です。このひやおろしの熟成は秋に醸造され、春に瓶詰された後、夏をすごし、秋に出荷される日本酒です。グラスに注ぎます。こちらもアル添酒の大吟醸の特徴酒が出ています。色味も和田来と一緒でクリアな色味、香りもリッチ感のない香り、吟醸香は出ていない。フルーツの香りもお米の香りも出ていない。感じられるのはクリームチーズのような香りです。バタークッキーのような香りもある。西日本エリアでつくられただけあり先程よりは複雑な香りです。

口に含んでみます。強い甘味を感じます。酸味はありますが、クリームチーズのような優しい酸味なので、甘味を感じやすいのでしょう。和田来よりリッチ感があります。飲みやすいお酒でバランスのとれた球体のような印象をうけます。

クリームにはクリームを、ということでクリームパスタなどいいと思います。チーズつながりでいうならピザにも合う。西日本の日本酒はピザに合うものが多いんです。お酒の香ばしい香りとピザ生地のカリカリとした部分からくる香ばしい香りがマッチします。

大吟醸をテイスティングして思った事

両者のテイスティングを通じて、感じたことは余韻を楽しまないお酒。淡くて印象の弱い味わい、悪い意味ではなく組み合わせにバリエーションがおおいということ。洋食や前菜にもあわせられる。純米大吟醸や純米吟醸は個性が強い分単体で飲む方は楽です。醸造アルコールを足すことで本来の香りと味わいは薄められている印象を受けています。

もう一つ、熱燗にも最適だ。大吟醸なのに熱燗?冷酒で飲むものだろう!!ってなると思いますがそれは純米大吟醸、純米吟醸に限っての事。冷えすぎると香りが低くなる。温めすぎたら香りが飛んでしまう。繊細さを感じますがアル添酒の吟醸酒に関してはちょっと違う。元々吟醸香の少ない吟醸酒はだからです。冷酒とは違った楽しみ方ができる。温度を上げることでそのお酒の特徴をはっきりと感じやすくなる。甘味、苦味、酸味、その個性を引き立ててやることで感じてくるものが違ってくる。40℃前後なら甘味が増す。50℃前後なら苦味や辛味も出てくる。温度が上がってくると醸造アルコールの辛味が引き立ちます。

逆に冷やしてもアリですね。猛暑の時期にキンキンに冷やして飲むと体温差がある分美味しく感じられる。冷やしても温めても楽しめる。そんなお酒は日本酒しかない。アル添酒の良いところですね。

次回は本醸造酒をご紹介したいと思います。この記事は日本酒テイスティング北原康行さんの著書を参考にして私の経験と感想をあわせて書いてます。

種子島の米作り、日本最南端の酒米 吟のさと

稲刈りの様子
稲刈りの様子

この記事の著者

八汐 航

1984年2月16日生まれ。地元、種子島の真中に位置する中種子町で実家の寿司屋八千代寿司を家族経営(代表取締役)している。小学生のころから、料理、生け花、農業に興味を持ち現在は料理を職業とし趣味で池坊を学び、酒米の栽培に挑戦。日本最南端の酒米栽培地区を種子島で実現し自分たちで育てた酒米から作った日本酒は思い出深い酒の味です、、、

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