日本酒を地域別に楽しむ!関西から九州編

関東から北海道編から続きまして関西から九州を見ていきたいと思います、地域ごとに独自の魅力を持っています。それぞれの地域が誇る酒蔵や代表銘柄について見ていきましょう。
関西地方では、京都の伝統的な酒蔵や大阪の多様な日本酒文化、地域ごとの個性ある味わいを感じることができます。また、中国地方では、広島の地元ブランドや島根と山口の隠れた名酒を取り上げます。さらに、九州地方では福岡の地酒や佐賀の地酒、鹿児島の日本酒にも言及し、日本酒の地域性や文化の深さを見ていきましょう。さぁ乾杯。
関西地方の日本酒
関西地方は、日本の伝統的な日本酒文化が根付いた地域です。多様な気候や地理条件、お米の質の高さに加え、各地にて独自の酒造りが行われています。この地域の日本酒は、東北地方と比べて色味や香りや味わいに変化があります。関東から北海道のエレガントな日本酒と比較すると関西から九州地方にかけてはまさにパワフルな日本酒。パワフルとは雑味が増して、その雑味がコクと旨味になる。つまり味が濃ゆくなっている。
エレガント(きれいなお酒)に対してパワフル(味に厚みがる、いろいろな味を感じるお酒)東西対抗を見ていきましょう。
京都の酒蔵と代表的な銘柄
京都には多くの酒蔵が存在し、特に有名なのは「松竹梅」や「高清水」、「月桂冠」といった銘柄です。
今回、ご紹介したいのは松本酒造。地下水が豊富な伏見市にある蔵元で「材料に勝る技術なし」というだけ手作業で造る酒蔵。その中の一本「如庵 純米吟醸」を紹介します。まずは色味、やはり関東の日本酒よりも黄色味がでてきています。香りは?若々しバナナのような、グレープフルーツのような弱い柑橘系の香りも感じられます。雑味は感じられない。「パワフルな」というよりはエレガントな日本酒、関東方面に近い香りです。
口に含むと印象は変わります。雑味、苦みやえぐみ、胡椒のピリピリとした後味、白ワインに似た酸味も感じられる。香りからは想像できないあじわいはここちいい雑味でした。香りはエレガント、味わいはパワフル。だんだんと暖かい地域の日本酒を味わっている感が出てきましたね。えーっとこの日本酒と合わせるなら焼き鳥屋さんやおでん屋さんにある鶏ののつみれなどでしょうか。しそを使ってるとなおさらいいでしょう。かすかに感じられるえぐみはしそのえぐみと相性がいいと思います。いうならエスニック料理ややベトナム料理にもいいと思います。パクチーの香りと相性がいいと思います。面白い日本酒でしたね。

大阪の多様な日本酒文化
大阪は、酒文化が非常に多様で、特に「酔鯨」や「今城」を代表とする蔵元があります。大阪の日本酒は、一般的に甘口が多く、軽快な飲み口が特長。また、大阪は商人の町としても知られ、酒の供給や流通が盛んであったため、市場には多種多様な日本酒が揃っています。現在でも酒屋や居酒屋での日本酒の飲み比べイベントが頻繁に開催され、地元の人々や観光客が日本酒の魅力を楽しんでいます。さらに、大阪はお好み焼きやたこ焼きなどの食文化が豊かで、これらの料理に合う日本酒を楽しむスタイルが広まっています。
さてここでちょっと愛知県の日本酒に触れてみたいと思います。萬乗醸造「醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦」。山田錦は酒米の王様とされており香りの出やすい酒米です。お米の磨きも多い分、雑味が少いタイプのお酒、色味は京都と同様で少し黄色味が出てきています。磨きが多い分きれいなお酒になるとおもきやそではなかった。気候が暖かくなった影響でしょう、香りは吟醸香が強烈に入ってきます。いろんな香りがするのではなく香りに厚みが感じられる。バナナの熟した香り、焼きバナナにまで近い香りに感じられます。
このお酒の香りはかなり最高レベルに近い甘い香り、口にふくむとアタックの強さ、圧倒的なボリューム感、フルーツの甘味を強く感じます。そして余韻が非常に長い、とろみのある、ボディがしっかりしていてパワフルなお酒です。このお酒にあわせる料理はとろみのある料理、シチューやあんかけ豆腐など、また甘みをいかすならクレームブリュレなんかもあうとおもいます。砂糖を焦がした香ばしい風味と相性がいいです

兵庫の清酒とその特長
兵庫県は、多くの著名な酒蔵が点在している。「白鶴」や「剣菱」、「菊正宗」といった酒蔵です。原料に使われる酒米 山田錦は日本一のブランド、兵庫県が生産する山田錦は香り高い酒を生み出す。また水、なかでも難の水「宮水」は中軟水で酒造りにてきした水だ。兵庫の酒は「辛口」が主流で、その味わいはすっきりとしていて、切れの良い後味が特徴、杜氏が技で作る酒は品質が高く日本、海外でも高く評価される。地元の小料理や和食と合わせることで多くの人に愛され続けています。
中国地方の日本酒
中国地方の日本酒は関西地方よりさらに複雑味をましてきます。香りの中にも雑味を感じられる地域です。それぞれの県に特色ある日本酒があります。広島、岡山、島根、鳥取の各県には、地元の風土や水質に適した酒造りが行われており、魅力的な銘柄が揃っています。さぁ見ていきましょう。
広島の酒蔵と地元の銘柄
広島では、特に「西条」という地域が有名で、ここには多くの酒蔵が集まっています。西条の水は酒造りに非常に適しています。代表的な酒蔵としては、金光酒造、白珠酒造、賀茂泉酒造などがあります。
金光酒造の「賀茂鶴」は、フルーティーで飲みやすい味わいが特徴的、食中酒としても愛されている。また、賀茂泉酒造の「賀茂泉」は、地元の銘柄の一つで、しっかりとしたコクと香りが特徴的なお酒。
島根と山口の銘酒
島根県と山口県には、知る人ぞ知る隠れた名酒があります。島根の酒蔵、例えば「出雲大社の神亀」といった銘柄は、地元で長年愛されてきた名品。清らかな水源から生まれる日本酒は、柔らかい口当たりと繊細な香りが特徴。出雲の神話や文化と深く結びついた酒でもあります。
鳥取県からは富士酒造 出雲の神話が語られている酒蔵。「出雲富士 特別純米」まず色味を見ていきます。黄色味が強くなってきました。気温と気候が影響してます。東日本エリアにはなかった色味がはっきり出てきました。香りは?閉じた香りです。吟醸香は感じられません。どこかコップ酒で飲むようなイメージ。アルコールの香りは強く感じますね。ただし、雑味は感じられません。
口にふくんでみます。苦味とえぐみをかなり感じます。お米の磨きが少ないタイプの純米酒らしい雑味です。一人コップ酒、「辛口ください」といえばピッタリの酒です。華やかな酒があれば正直でシンプルな酒もあっていいでしょう。しぶいお酒ですね。これだけシンプルならシンプルな料理で合わせたい。はじかみ生姜を味噌で食べるぐらいのシンプルさがあっていいと思います。生姜の苦味と相性が良さそうです。
山口県からは八百新酒造「雁木 純米吟醸」人工的ではない自然のお酒をテーマにしている酒蔵。香りをかいでみます。山田錦を使用した吟醸酒だけありかなり香り高い。ちょっと熟したバナナのような、温度が上がるとトロピカルな香り、アンズのような香りです。んっ香ばしいパンの香りや味噌のような香りも感じられる。複雑味がましてきました。ここまで南に来ると北日本とは全く違う香りに変わってきています。
口にふくんでみます。まずはフルーツの甘みを感じる。しかしすぐにお米の甘みと苦味が出てきました。余韻は長い、お米の甘みと苦味がずっと残る。純米吟醸はお米の磨きが多いタイプなのにお米の味を感じられる。北日本、関東にはなかった特徴です。ここまでしっかりした味わいなら醤油をなめたい。発酵食品の香りがそう思わせる。パスタなら醤油味。おでんなら味噌か醤油味が強いおでん、ここまでパワフルなお酒だと刺身は合わせづらい。エレガントな味わいにはお刺身が合わせやすいがパワフルなお酒が勝ってしまう気がします。

九州地方の日本酒
九州地方は、日本の南端に位置する地域であり、私の故郷がある地域ですね。日本最南端の日本酒醸造エリアです。気温や気候が酒造りにどのような影響を与えどんな味わいの日本酒が生まれているのか。ここでは福岡、佐賀、鹿児島の日本酒に注目してきます。
福岡の人気酒
福岡県、海や山に恵まれた自然環境の中で育まれた米から作られる日本酒が多彩です。特に代表的な銘柄として「楽天地」や「長官房」が挙げられます。楽天地は、すっきりとした飲み口と芳醇な香りが特徴で、特に冷でも温でも飲みやすく、魚介料理や豚肉との相性が良いことで知られています。また、長官房は、やや甘口でフルーティな風味が人気を集めています。
福岡県からは大賀酒造 「大賀 純米吟醸 山田錦」をご紹介したいと思います。1673年創業で福岡県では最も古い蔵元です。それではみていきましょう。まずは色合い、やはり黄色のニュアンスが出ています。香りには雑味が混じっています。これまでに香りに雑味があったのは中部地方だけでした。ここまではっきりとした雑味は九州特有でしょうか。全体の香りとしては閉じっている。華やかさは感じられない。古いお漬物のような、ビスケットのような、香ばしい香りがします。これまで純米吟醸酒ではフルーツのような香りがしていたもののこのお酒に関しては感じが違う。お米の香り、炊き立てご飯のような香りがします。
口に含んでみるとお米の甘味を強く感じる。とろみもある、旨味もコクも強く感じる。最初のアタックが強くダイナミックに広がっていく。アルコール感、甘味、旨味、コクが口の中にウワーッと広がっていく。そして永遠と続くようにも感じられる。味わいが深くパワフルだ。九州といえば豚骨ラーメンですがこの日本酒なら負けな。高菜漬ともあいそうです。

佐賀の人気酒
佐賀県から天山酒造 「七田 純米吟醸 無ろ過」1861年、水車業を営み製麺会社が創業当時の職業だったようです。1875年に町内の酒蔵を購入し酒造業をスタートさせたようです。面白い歴史をもっています。それでは見ていきましょう。色味はやはり黄色いニュアンスがあります。香りについても雑味を感じられる九州地方ではどちらの日本酒も雑味がありました。フルーツのような香りも感じますがフルーツキャンディのような香りに近いでしょう。フルーツ由来の甘味ではなく、水あめ由来の甘味。土っぽい香りもあるし、麦わらのような香りもある。複雑な香りですね。九州地域では複雑味が感じられる。華やかさはないが香りに厚みがあります。ボリューム感がある、パワフルそのものです。
飲んでみるとまずボリューム感がすごい。ここまで飲んできた日本酒の中で一番パワフルでダイナミックなお酒だ。ボディがしっかりしていて飲みごたえがある。九州地域まで来ると純米吟醸でもお米の風味を感じられる。お米の成分がダイレクトに伝わってきます。ここまで複雑味あるお酒なら鶏の炭火焼ぐらいのダイナミックな味で味わいたい。塩や醬油味では負けてしまう。もっと香りをつけた料理が良いでしょう。ジビエなら赤肉のジビエ。そのぐらいは印象的な味わいの方があう。

鹿児島の焼酎文化との比較
鹿児島県は、九州の南端に位置し、焼酎の生産が非常に盛んです。日本酒と焼酎は、原料や製法が異なり、この地域では焼酎が主流ですが、近年日本酒も地元の食文化と結びつけて新たな展開がみられます。鹿児島の日本酒「正宗」や「天賊」は、ここ数年で注目されるようになりました。
根強い焼酎ファンの中に日本酒好きが混ざっているというイメージですね。ここまで日本酒テイスティングにならって北原康行さんの著者で勉強してきました。そこで今回は自分のマイブランド「純米吟醸 わたる」をテイスティングしてみたいと思います。まずどんなお酒なのか?こだわっているのは自分たちで育てた「吟のさと」という品種の酒米を100%使用している事です。種子島の米産業の活性化を目的として単価の高く量が必要とされる酒米に注目したことがきっかけ。まずは自分たちで育てた酒米で出来る日本酒を楽しみたい。そしてこの喜びと希望が日本酒と一緒に次の人にわたる。だれかがだれかに思いと一緒にわたっていく。そんな思いを込めた「純米吟醸 わたる」です

ではさっそくみていきましょう。まずは色合い、少し黄色味があっる程度です。クリアとはいわない。見た目のイメージで黄色が思い浮かぶ。本の中でもありましたが九州地域は雑味が多く米の味を感じられる。逆に東北地域までいくとはなやかな吟醸香とクリアな、きれいなといった方がいいかもです。そんなお酒がおおい。気温と気候が影響しているようです。香りをかいでみます。今回は私もワイングラスでテイスティングしています。まず感じたのは複雑な香りだ。とおもいました。何度もかいでみないと答えられない。吟醸香のような香りがかすかにする、でもお米の香りの強い事はすぐにわかりました。もち米を蒸した時のような香りです。少し温度が上がるとつばが出るような酸味と苦味を感じます。アルコールの香りもします。鼻に抜ける感じがすっきりとします。

口にふくんでみるとすっと入ってくる。私は九州に住んでいるのでこぐらい複雑味があるほうが好みなんだと思います。違和感は一切感じられない。甘味の余韻が長くて終わらない。でもどことなく主張は弱いと思います。ちょっと口の中で転がしてみました。蒸したコメの味です。香りがそう感じさせるのかもしれませんがそんなイメージがわいてきました。転がしているとだんだんアルコールの味に変わってきます。でも苦味、辛味は感じ取れます。すっと飲んでしまえばそこまで感じることはなかった。口の中で転がすことで感じ取ることができる。テイスティングって面白いですね。いつもただ飲んでるお酒にこんなにも味わいがあるとは思いませんでした。こんな日本酒にあわせるなら巻寿司のような複雑な寿司でしょうか。赤酢などは使わずお米の香りを残すシャリで作った巻寿司。いろいろな種類のある巻寿司なら複雑味があり主張の弱い日本酒には相性がいいような気がします。またしめ鯖もいい。酢の酸味と日本酒の雑味は相性がいいとおもうからです。マグロの握り寿司なら山椒をを落としても面白いと思います。主張が弱い分どんな寿司でもあう。でも少し複雑味がほしいです。イカを塩でとなると違和感は感じられないかもですがそれなら東北の日本酒があう。イカでこの酒を飲むなら柚子胡椒などをあわせるといいとおもいます。是非お楽しみください。
ここまで北海道から九州まで見てきた感想
一つ分かりやすく分かったことはこちらです
東日本エリアの方は香りが高く、味わいは淡い。
西日本エリアの方は香りが低く、味わいは濃い。
東日本エリアからははなやかな香りを感じた、西日本にうつり九州までおりるとだんだんお米の香りに変化していき味も複雑味をおびていく。エレガントな味わいからパワフルな味わいに変化していく。面白いですね日本酒の世界も、、是非楽しんでみてください。それでは今日も乾杯。
この記事は「日本酒テイスティング 北原康行さんの本を参考にして私の経験と感想を加味して書いてます。
種子島の米作り、日本最南端の酒米 吟のさと
